新年の重要なキャラクターでありシンボルであるジェド・マロースは公式的にヴォログダ州のヴェリーキー・ウスチュークに住んでいる。子どもたちがプレゼントのお願いを書いた手紙は他でもないこのヴェリーキー・ウスチュークに届く。ジェド・マロースは孫娘のスネグーロチカ(雪娘)と住んでいる。この2人のいない新年のイベントなど想像もできない。
ジェド・マロースを見分けるのは簡単だ。白い毛皮のついた赤か青の長いコートを着て、同じ色の帽子を被り、白い長いあごひげをたくわえ、手には長い魔法の杖を持っている。伝説によれば、この杖を使って、どんな生物も凍らせたり、溶かしたりすることができる。
イスラム教の共和国、タタールスタンのヤナ・クィルライ村にジェド・マロースの兄弟であるクィシ・ババイが住んでいる。毛皮のコートの代わりに民族衣装の青いカフタン(ガウン)を身につけ、帽子の代わりにテュベテイカ(丸い帽子)を被っている。孫娘の代わりにいるのはカル・クィズィだ。2人は森の精シュラレと優しいシャイタン、勇敢な英雄のバティルと暮らしている。
カレリア語で「冬のおじいさん」の意味。首都ペトロザヴォーツクの近くに、タルヴィ・ウッコを助けるトナカイとハスキー犬とアラスカン・マラミュートと一緒に住んでいる。そんなわけで、彼らの家には、ただプレゼントを受け取りに来るだけでなく、トナカイのソリや犬ぞりを楽しんだり、カリートキ(
カレリアにある中世の街オロネツの南部にもう一人のジェド・マロースであるパッカイネが住んでいる。一目しただけでは一体誰なのかまったく分からない外見をしている。彼の名前を直訳すると「凍らせる人」。伝説によれば、パッカイネはいつも明るい青年で、冬の娯楽と旅行が大好きであったが、鏡の前で着飾るのも好きだった。パッカイネがどこかに滞在すると、その後に必ず彼の影がそこに住み続けていて、12月1日になるとその影がオロネツにやってきて、自分こそが本物のパッカイネだと言い張った。これが真実かどうかはわからないが、毎年冬になると彼の家でアトラクションが行われたり、市が開かれ、ジェド・マロースのコンクールが行われる。タルヴィ・ウッコとジェド・モロースとパッカイネはとても仲良しで、兄弟のように親しくしている。
チスハーンとハルチャーナ(雪乙女)。ヴェリキイ・ウスチュグにおけるジェド・マロースの誕生の祝いにて。
ミハイル・ビヤトフ撮影/Sputnik ヤクーチアには2人のジェド・マロースが住んでいる。チスハーンはタイガの冬のように厳格。その名前は「酷寒」と訳され、半身が人間、半身が雄牛である。角が生えるころ、ヤクーチヤには冬が訪れ、角が抜け落ちると夏が来る。寒さの権力者であるチスハーンにはチョルボン・クオという星の乙女の妻と、冬そのものである姑がいる。
もう一人の優しいエヘー・ドウィルは子どもをトナカイのソリに乗せて走り、プレゼントを配る。エヘー・ドウィルには孫娘のハルチャーナがいるが、彼らの家にたどり着けることができるのはもっとも屈強な者だけである。というのも、彼らは気温がマイナス70度まで下がる寒極オイミャコンに住んでいるからだ。
ネネツのジェド・マロースは地球の端に住んでいて、長い白いあごひげをたくわえ、北方の遊牧民族の伝統的な衣装を身につけている。儀式を行うときには、手に大きなタンバリンを持っている。ヤマル・イリはこのタンバリンを使って、訪れる人々から、悪い霊を追い出す。もし絶対に叶えたい願いがあるなら、ヤマル・イリの杖をに触れれば、必ず叶うと言われている。
巨人のトル・ババイは世界をさまよい歩くうちに曲がってしまった杖を持っている。伝説では、旅をしているうちに、彼は動物や植物の言葉をいくつも学んだが、人々はこの巨人を恐れていた。彼と仲よくしたがったのは子どもだけだった。そんなわけで、トル・ババイは子どもたちにプレゼントを贈り、家に招待するようになった。紫色の毛皮のコートを着て、プレゼントがたくさん詰まった白樺の箱を持っているので、見間違うことはない。
チュヴァシ人はかつて新年をスルフリ(ヒツジの足の意)という祝日とともに祝っていた。というのも、食事の後、羊小屋でヒツジの足を捉まえて、その足が白か黒かで次の年を占ったからである。チュヴァシの新年につきものの魔法の精はヘル・ムチとその孫娘、ユル・ピケ。仲間に人間と話せるサモワール、願いの箱、そして「幸せの」時計である。大晦日の夜にヘル・ムチに会えると、次の年は幸運に恵まれると言われている。
サガン・ウブゲンがヴェリキイ・ウスチュグにおけるジェド・マロースの誕生の祝い時にジェド・マロースの家を訪問する。
Mikhail Fomichev撮影 仏教の国、ブリャートでは「白い老人」に敬意が払われている。この「白い老人」が平和と長寿、家庭の幸福を運んでくれると考えられている。サガン・ウブゲンは仏教のシンボルの一つである龍の頭のついた杖を持っている。
カフカスのジェド・マロースは、訳すと火のおじいさん。アルトフロンは火と太陽の古代の神で、人々に富と幸せを与えてくれる。オセチアでは、新年の前に、アルトフロンに敬意を払い、幸せをもたらすとされている大きくて丸いピローグを焼く。
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