「ヒョウ繁殖センター」にいるコーカサスヒョウ、ソチ=
アレクセイ・ニコリスキー撮影/ロシア通信アフナ、ヴィクトリヤ、キリの3頭のコーカサスヒョウが7月15日、コーカサス山脈で解放された。衛星首輪で動きが監視されているコーカサスヒョウには、個体群をつくっていくことが期待されている。
19世紀の国内で最も有名な詩の一つであるミハイル・レールモントフの「ムツイリ」には、主人公がコーカサスでヒョウと戦う重要なシーンがある。個体数に関するデータはさまざまあるが、19世紀末の状況について、冒険家ニコライ・ジンニクは「ヒョウは希少ではない」と書いている。これはその後の調査でも明らかになっている。例えば、ソ連の動物学者エヴゲニー・パヴロフスキーの調査だ。1894年から1898年までの間に、猟兵が11頭のヒョウを殺したことを確認している。
だが20世紀半ばまでに、この地域からほぼ消えた。人間の近くで暮らすことは、悲劇に終わった。ロシア革命前、ヒョウをあらゆる手段で殺すことが許可されていた。地元住民は射殺し、有毒な肉を捨てていた。パヴロフスキーは著書の中で、1949年に猟兵が久々にヒョウを殺したことを記しているが、これはイランから来た種だった可能性がある。
コーカサスヒョウ自然環境復帰プログラムは、ロシアの国家環境局が世界自然保護基金(WWF)と協力して、2007年から行っている。この時、ソチでは、特別な「ヒョウ繁殖センター」の建設が始まった。普通の動物園にいる動物は、狩りができず、人間を恐れないため、自然界に放つことはできない。
今回野生に戻されたヒョウもここで育てられた。試験を受けて合格した、選ばれたヒョウのみが、解放される。試験項目は、ノロジカ、トナカイ、またはヒツジをつかまえられるか、人間の危険性を理解できるか。最初の課題を4頭すべてがクリアしたが、人間の危険性の項目で、1頭が警戒心を持たず、好奇心いっぱいに人に近づいたことから、不合格となった。今回4頭ではなく、3頭だったのはこのためだ。
センターに残っている4頭目のヒョウの名前はシンバド。フランスの動物園からセンターに来た。WWF種保存プロジェクト調整役のナタリヤ・ドロノワ氏は、ロシアNOWにこう話す。「ヒョウは人を避け、隠れなければならない。シンバドは2歳で連れて来られたため、人に慣れてしまっている。うまく教えることができなかったら、繁殖のためにセンターに残される」
「個体数を安定させるため、つまり自己再生を可能にするためには、この地域に成熟個体が50頭以上生息している必要がある。これがプログラムの目的」とWWFロシアのイーゴリ・チェスチン会長は話した。ヒョウの状態を動物学者が観察しており、何かあれば、対応チームが現場に向かう。最初の3頭の今後が計画通りになれば、子孫が誕生する。
どのヒョウにもGPS首輪がついており、衛星信号を介してその位置を追跡する。想定生息地には、24個のカメラトラップが設置されている。また、緊急事態にヒョウを助ける即応専門家グループも創設された。
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