エチポチマクはかつて遊牧民たちの伝統的な食べ物だったもので、中に生肉を入れ、宿営地に着くと、上部の穴から熱々のブイヨンを注ぎ、メインディッシュとして食べた。現在、エチポチマクはタタルスタン共和国を代表する料理となっている。
ロシアでは、お茶が登場するまで、スビテンが寒い季節に体を暖めてくれる主要な飲み物であった。熱湯にハチミツを溶かし、ハーブ(オトギリソウ、ミント、セージ)とスパイス(カルダモン、クローブ、シナモン)を加えて作る。プリャーニク(糖蜜菓子)やクッキーと一緒にいただく。
ダゲスタンのチュドゥは、黒海沿岸のチェブレキと同じくらい人気がある。薄くてふわふわしたパンで、中には油で炒めた肉、野菜などのフィリングが入っている。
オクローシカのレシピは18世紀末の料理本に初めて登場した。クラシカルなオクローシカは、細かく刻んだ野菜、肉、葉物野菜に白いクワス(甘くないもの)で作られた。後に、クワスの代わりにミネラルウォーターやケフィール、アイラン、その他の乳酸飲料を使ったものが考案された。
*オクローシカのレシピはこちらからどうぞ
子どもたちの朝ごはんとして一般的な一品。家でも幼稚園でも学校でも食堂でもメニューに必ずある。またこのカーシャは牛乳の中に何かドロっとしたものが入っている嫌なものというイメージと、甘いジャムやベリーを乗せておいしくいただけるという2つの異なるイメージがある。
カレリアおよび北方ロシアの伝統料理。「カリータ」と呼ばれる(古ルーシ語)小さな財布に形が似ていることから、この名前がつけられた。ライ麦粉で作るピロシキであるカリートキのフィリングにはありとあらゆるものが使われる。
古代、カラチはロシアで愛されるファストフードであった。普段、ケトルベルのような形で焼かれ、取っ手の部分があり、持ちやすかった。コロムナ、トボリスク、ムーロムでは、現在もカラチが製造されており、食べることができる。
白くて柔らかい牛乳から作られたチーズ。アディゲ共和国のチェルケス人が作っている。サラダやスープに入れたり、肉や魚と一緒に焼かれたり、スィルニクやチーズケーキなどのデザートにも使える。
ソ連時代、学校の食堂でも、食料品店でも必ず売られていたクッキー。今ではシンプルなものに思えるが、シンプルな生地をピーナツが補っており、ピーナツは多ければ多いほどおいしい。
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魚が入ったピロシキで、「ボタンを外したように」上の部分を開けたまま焼くことから、名前も「ボタンを外した」というロシア語からきている。どんな魚を入れてもおいしく焼けるが、お祝いごとのときには、スズキやサーモンが好まれる。
甘い粉糖でコーディングされた酸っぱいツルコケモモが口の中で溶ける。ボール紙の箱に入っていたソ連のお菓子を子ども時代に食べた人々は、皆、このツルコケモモの粉糖がけをそんな風に記憶している。今も同じ箱に入って同じように売られている。家で作る場合は、ツルコケモモの代わりにコケモモで作ってもよい。
塩漬けにするのには、アカハツタケ、ヤマドリタケ、ミルクマッシュルーム、アンズタケがよく使われる。塩漬けにしたキノコは前菜として食される他、スープやサラダに入れたり、ピローグやブリヌィの具としても使われる。
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パール大麦をキノコや肉と作る古くからあるカーシャ(粥)はカーシャの王様と呼ばれている。皇帝一家らも一目置いた料理で、ニコライ2世の戴冠式の食事にも取り入れられた。キノコを入れたレシピは、ピョートル1世のお気に入りだったと言われ、彼は軍の食事にもこのパール大麦のカーシャを出すよう命じた。
伝説的なソ連映画「イワン・ワシリエヴィチの転職」に出てくる「外国製のナスのイクラ!」というフレーズはたちまち金言となった。この映画が公開された後、ナスのイクラ(ペースト)はロシアの食卓で人気の前菜となった。しかもナスは品不足になったことがなかった。
コヴリシカは大きくて柔らかいプリャーニク(糖蜜菓子)にスパイス、ハチミツ、レーズン、果物や果皮の砂糖漬けを加えたもの。外国のものの中ではドイツのシュトーレン、イギリスのジンジャーブレッドに似ている。
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ウドムルト共和国の料理で、ヴァトルーシカや小さなピザに似ている。ペレペチは、肉入り、キノコ、野菜入りなどがある。
これはスラヴの結婚式のパンで、幸せで豊かさのシンボルとされている。カラヴァイは伝統的にパンで作った三つ編み(富の象徴)、カリーナの束(子宝の象徴)、2つのリングまたは2羽の白鳥(忠誠心の象徴)で飾られる。
ドン・コサックやクバン・コサックが結婚式に焼いていた伝統的な肉のピローグで、後にロシア中に広まった。フィリングはチキン(クーリツァ)が使われることが多く、そこから「クールニク」と呼ばれるようになった。
スイバにジャガイモと卵を加えて作る緑色のスープ。チキンブイヨンかビーフブイヨンが合う。大事なのは、食べるときにサワークリームとフレッシュハーブを添えること。
焼いた牛乳から作る乳酸飲料。焼いた牛乳と成分は似ているが、リャージェンカの方が吸収がよい。牛乳と違って、リャージェンカは柔らかいクリーム色をしていて、カラメルの味がする。かつては牛乳にサワークリームを加えてペチカで焼いていたが、現在は技術の進化により、牛乳に乳酸菌と酵母を加えて発酵させて作る。
ソ連時代の新年のテーブルを飾った伝統的な一品。半分に切ったゆで卵に、黄身、ハーブ、マヨネーズ(これは絶対にはずせない!)を混ぜたものを詰め、上にイクラかキャビアを飾る。
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カバルダ・バルカル共和国とカラチャイ・チェルケス共和国で食されている中にさまざまなフィリングが入っているパンで、どんなテーブルをも飾ってくれるまさに女王的存在の一品。バルカルのフィチンは薄いパンで、カラチャイ・チェルケスのものはケフィールか牛乳を加えてふんわり厚みがある。フィリングには茹でたジャガイモ、ハーブ、肉が使われる。
パスハ(復活大祭)の際に用意される円筒型のケーキ。上部はアイシングか粉糖で飾る。生地にはレーズン、ナッツ、フルーツの砂糖漬けを入れる。伝統的にクリーチは卵、カッテージチーズのパスハと一緒に、復活大祭前日に教会で浄めてもらう。
カッテージチーズで作られたデザートは1年に1度、パスハ(復活大祭)に作られる。ピラミッドの上部をカットした形をしているが、これは神の棺を象徴している。潰したカッテージチーズの他にバター、サワークリーム、卵、砂糖、またレーズン、フルーツの砂糖漬け、レモンゼストを入れて作られる。
冷製カーシャ。少ない材料で作れるおいしくてお腹いっぱいになる料理。肉のラードまたはサーロ(脂身)、タマネギを炒め、そばの実とスパイスと一緒に煮るだけで出来上がり。
古くからあるこのロシアのデザートは、リンゴが好きではない人でもおいしくいただける。リンゴをくり抜き、中にカッテージチーズとレーズンを入れ、シナモンをふりかけるか、スプーン1杯のハチミツを加え、柔らかくなるまで焼く。
確かにカニは本物ではないのだが、それでも、お米、コーン、カニカマで作られるこのソ連のサラダはお祝いの席に欠かせない一品である。
ヴァトルーシカに似ているが、塩辛いものを入れて作られることが多い。元々は豆のカーシャ(粥)とサワークリームを入れて作られていたが、最近はジャガイモのピュレー、カッテージチーズ、そばの実、卵を入れたものが一般的になっている。シャンギは熱々のまま、スープや紅茶、ミルクを一緒にいただく。
ブリヌィ数枚では足りないという人のためにあるのがこのブリヌィのケーキ。このケーキを作るのに、伝統的にブリヌィが食されるマースレニツァ(バター祭り)を待つ必要はない。ブリヌィを20枚焼き、生クリームをベースにしたクリームを塗り、冷蔵庫で3〜4時間冷やせば、ケーキの出来上がり。
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見た目もきれいで、熱することで詰めた肉にピーマンの味と、生クリームかサワークリームかトマトソースで作ったソースを浸み込ませることができる。もっとも一般的な詰め物は牛肉のひき肉、それにお米を加えたものだが、チーズや野菜を入れてもおいしい。
2015年にできたばかりのケーキだが、登場するやいなやモスクワの食のシンボルとなった。材料はメレンゲ、ヘーゼルナッツ、煮た練乳。ケーキには赤いアイシングが施され、ホワイトチョコレートで「モスクワ」と刻まれている。
もっとも怠惰な人のためのロシア料理。カッテージチーズの生地を筒状に丸めて、カットし、沸騰したお湯に入れて茹でるだけ。成形などしなくても、素晴らしい一品が楽しめる。
このリンゴのピローグは詩人のマリーナ・ツヴェタエワの家でよく焼かれていたもの。特徴は柔らかいサワークリームの生地にある。リンゴは渋みのある秋のリンゴが一番合う。今でも毎年、ツヴェタエワの誕生日には(10月8日)、ファンたちがこのピローグを焼いている。
11〜12世紀にかけては、キノコスープもチキンスープなど、煮込んだスープをすべてウハーと呼んだ。そんなウハーが魚のスープを指すようになったのは17世紀の末から18世紀の初頭になってからのこと。最近のウハーは、透明なブイヨンに1種類か2種類の魚、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン、スパイスを入れたもの。漁師のウハーは焚き火で煮込まれ、最後にウォトカが加えられる。
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このサラダの一種は新年のお祝いにも作られている。缶詰の魚(サケが多い)、ゆで卵の卵白を刻んだもの、茹でたニンジン、チーズ、ハーブを層にして重ねていけば、「ミモザ」の完成。
14世紀から知られるロシアの古いお菓子。モスクワ近郊のコロムナが発祥の地とされる。パスチラはリンゴとハチミツで作られるが、ときに白っぽくするため卵白が加えられることもある。
フルーツのピュレーから作られるふんわりしたお菓子。ゼフィールはその材料が似ていることからパスチラの弟分と呼ばれる。ただしゼフィールにはハチミツの代わりに砂糖が使われ、また形も違っている。
丸または楕円形をした7㌢から10㌢の小麦粉生地を焼いたお菓子。焼く前に熱湯をかけることにより、表面がツヤツヤとしているのが特徴。バランキは太陽の象徴であることから、スラヴ人はこのバランキを糸でつないで、家やサモワールを飾った。
ブーブリキはバランキによく似ているが、バランキよりも少し大きく、直径は8㌢から20㌢。生地の中はより柔らかく、もろいため、バランキほど何ヶ月も保存できない。
酸味のある塩辛いスープ。というのも、塩漬けのキュウリとオリーブ、レモン、またときにクワスを入れて作られるからである。ソリャンカには肉を入れたもの、魚を入れたもの、キノコを入れたものなどがある。ソ連時代、ソリャンカは缶詰に入って、即席スープとして売られていた。
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サクサクのショートクラスト生地をバタークリームで浸し、チョコレートのアイシングを施したケーキである。しかしもっともおいしいのは、周りについている砕いたナッツの部分である。ケーキは有名なレニングラードのカフェ「セーヴェル」で考案されたものであるが、このカフェはいまも営業を続けている。
ルーシ時代、キセーリは一つの料理で、発酵させたオートミールに水を加えた、いわばプディングのようなものであった。現在のキセーリはコーンスターチを入れてドロッとさせたフルーツまたはベリーの飲み物である。水に入れて溶かすとキセーリになるバーが売られているが、子どもたちはこのバーをそのままかじっている。
ソ連時代に人気があったタタールとバシキールのストリートフード。オープン型のピロシキで、中には炒めたひき肉が入っている。鉄道駅の中の駅や食堂などで売られていた。
ロシアではベリー、フルーツ、そして松ぼっくりからもヴァレーニエ(ジャム)を作る。アストラハン地方では、スイカのヴァレーニエなどというものもあり、「ナルデク」または「スイカのハチミツ」と呼ばれている。
ニンニクとイノンドと一緒に塩漬けにしたカリカリのキュウリは、ウォトカによく合うロシアの伝統的なおつまみである。また漬け汁は、酔い冷ましに使われる。これ以外にもキュウリはジャガイモに合わせる前菜にもなり、サラダ(ヴィネグレート)やスープ(ラソーリニク)を作るのにも使われる。
子ども時代を懐かしく思い出させるデザート。しかもソ連時代、コンデンスミルクを入れた筒型ワッフルを手に入れることができるというのは本当にラッキーなことであった。なかなか店頭で目にすることはなく、またワッフルメーカーは、自分で買うには贅沢品であったからである。
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キャベツとニンジンと酸味のあるクランベリーを塩水につけて数日発酵させると最高においしい、どんな機会にもぴったりな前菜が出来上がる。リンゴ、ビーツ、トウガラシを入れる人もいる。
雑穀とかぼちゃという組み合わせは実にぴったりで、豊かな味わいと独特の香りを生み出してくれる。クルミ、レーズン、干しアンズを加えれば、理想的な朝食の出来上がり!
ソ連の(そして現代の)もっとも一般的なデザートである砂糖の「舌」とは、砂糖をまぶしたパイ生地のお菓子。最高にシンプルでおいしいデザートである。
おそらく、もっとも人気のある地域料理の一つで、ロシアのどんな場所でも見つけることができる。オセチアのピローグは多くの種類があり、たとえば肉とブイヨンを入れたフィジン、チーズを入れたウアリバフ、そして豆を入れたカドゥルジンなどがある。
アルコールのケーキかと思ったかもしれない。当たらずとも遠からず。ラム・ババは、シロップを浸したバター生地にほんの少しコニャックまたはラム酒を入れ、砂糖のコーティングをしたものである。
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フランスのソースの名前がつけられたロシアのサラダ。おそらく、ヨーロッパから伝わり、ロシア料理に取り入れられたものと思われる。クラシカルなロシアのレシピは、ビーツ、ニンジン、ジャガイモを茹でたものを小さく切ったもの、グリーンピース、塩漬けまたは酢漬けのキュウリを切ったものを合わせ、植物油と酢で味を調えるというもの。ヴィネグレートには多くの種類があり、ザワークラウト、豆、キノコ、肉、ゆで卵、ニシンを入れたものなどがある。
カリカリの生地を小さく丸くまとめ、甘いハチミツシロップをたっぷり浸したタタールの伝統的なお菓子。タタール語でチャクチャクとは、「小さいもの」を意味する。
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パン粉をつけて焼いたチキンカツレツは、19世紀の初頭にロシア、トヴェリ州にあるトルジョクのエフドキム・ポジャルスキーの食堂で作られた。言い伝えによれば、この料理はロシア中で大賞賛を受けた。ニコライ1世もこの料理を大変気に入ったと言われている。
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カッテージチーズにレーズンを入れた柔らかいザペカンカはもっとも体によいとされるロシアのデザートの一つ。サワークリームまたは自家製のヴァレーニエと組み合わせれば、絶品デザートとなる。
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人気のリンゴのピローグ。アレクサンドル1世の料理人だったフランスのシェフが考案した「シャルロット・リュス」を一般的にしたもの。元々はカスタードクリームと生クリームを入れたピローグだったが、のちにリンゴを入れて焼いたスポンジ生地のパイになった。かなりシンプルになり、子どもでも作れるものになった。
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柔らかいセモリナ粉のカーシャにベリーやナッツを加えたもので、ほとんどデザートと言ってよいもの。19世紀初頭に、財務大臣だったドミトリー・グーリエフに仕えていたシェフ、ザハール・クズミンが考案した。このカーシャは皇帝の時代から変わらぬ形で現在に伝えられている。
ショートクラスト生地にカッテージチーズのフィリングが入っただけのシンプルなお菓子だが、これが非常においしい。ソーチニクという名前はロシア語の「ソーク」という言葉から来ている。「ソーク」はジュースの意味で、かつては生地にジュースが加えられていたことによる。
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サワークリームを使ったスポンジ生地をサワークリームに浸して作るロシアのクラシカルなケーキ。デコレーションはパティシエによりさまざまで、皆、創造力を駆使している。
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塩漬けのキュウリをベースにしたスープで、爽やかな酸味を加えてくれる。またブイヨンには、穀物(パール大麦が多い)とジャガイモ、肉が入っている。もっとも有名なのはモスクワ風とレニングラード風の2種。この2種の違いは、レニングラード風はビーフブイヨン、モスクワ風はチキンブイヨンをベースにしているところである。
コンポートは、前菜、メインディッシュを食べた後にいただく、ドライフルーツで作るデザート。もっともおいしいコンポートは、リンゴ、梨、アプリコット、レーズンで作るものとされている。どんな食堂でも、人気上位を誇っている。
料理史を見れば、キエフ風カツレツは20世紀初頭に(モスクワまたはサンクトペテルブルクで)考案され、その後、ソ連のレストランで違う名前に変わったとされる。しかし、レシピはソ連時代から変わっていない。鶏肉の中にバターとハーブを入れ、パン粉をつけて揚げたもの。
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ロシア料理にはカッテージチーズを使ったデザートがたくさんあるが、このカッテージチーズ・リングは中でももっともエレガントな一品。シュー皮で出来た生地に甘いクリームが入ったこのデザートは19世紀に皇帝のテーブルで出されるものであったが、ソ連時代には幅広いグルメファンも手に入れられるようになった。
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おかず系のフィリングが入った小さなピロシキは伝統的にスープや汁物とともに食され、また甘いピロシキは熱い飲み物によく合うとされる。もっとも一般的なフィリングはキャベツ、ひき肉、キノコ入りのジャガイモのピュレー、お米と卵、ベリー類、リンゴである。
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どのようにしてこの言葉がロシアで誕生したのか、またこれが何を意味するのか、歴史家は今も解明できずにいる。しかし、大昔から、バター生地にカッテージチーズやジャムを入れたお菓子は子供時代を思い出させるものである。
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クリミア・タタール料理の代表的な一品であり、黒海のリゾート地の主なストリート・フード。薄い生地でできた肉入りの揚げピロシキの一種。
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外国では「ロールキャベツ」とも呼ばれるこの料理を作る上でもっとも難しいのは、お米とひき肉をキャベツの葉に包む工程である。ちなみに、すべての材料をフライパンで蒸すだけの手抜きバージョンもある。あなたならどちらを作ってみたいですか?
糸を通したナッツを冷めたぶどうジュースかざくろジュースに浸けて固めたこのお菓子は、南ロシアのリゾート地で食べられるもっとも有名なものであろう。チュルチヘラは、グルジアにルーツを持っているが、ソ連時代、大量の人々が黒海沿岸で休暇を楽しむようになってから爆発的な人気を博した。
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チョコレートでコーティングされたカッテージチーズバーは1930年代にソ連で生まれた。カッテージチーズ以外に、バター、塩、砂糖、その他のフルーツジャムなどが入っている。チョココーティングは、皆に愛されたソ連のアイスクリーム「エスキモー」に似ている。
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ソ連の食堂で出されたカツレツは、とても柔らかく、家で作るものとは食感が異なっていた。その秘密はパンであった。食堂では、肉(牛肉と豚肉のひき肉)を節約するために、パンを加えたのであるが、それがなかなか功を奏したのである。付け合わせはジャガイモをつぶして牛乳でのばしたピュレー。多くのロシア人にとって、今でも最高のランチメニューである。
シンプルですぐにできるセモリナ粉とケフィールのピローグ。セモリナ粉のおかげでピローグは柔らかくてふんわりしている。上にジャムをかけるか粉砂糖をかけていただく。
このピローグはふわっとした生地とバターとコンデンスミルクでできたクリームで人々をたちまち魅了する。見かけはチョコレートのない「ボストン」ケーキを思わせるが、生地もクリームも作り方がまったく違う。
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外国では、アレクセイ・オルロフ公爵にちなみ、「オルロフ風」という名前で知られる牛肉または豚肉料理。オルロフ公爵がこの料理を考案したとされている。そしてロシアでは、豚肉または牛肉をジャガイモとタマネギの下に置いて焼き、ベシャメルソースをかけ、チーズをかけたものを「フランス風」と呼ぶ。
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名前はフランス語であるが、このケーキは非常にソ連的なもので、2枚のスポンジ生地の間にクリームを挟み、チョコレートでコーティングしたお菓子である。
ロシア人なら誰でも、子どもの頃から、この乳酸飲料がカフカスにルーツを持ち、体にとても良いものであることを知っている。ちなみにケフィールは美容にも用いることができる。
油で揚げた丸い形の小麦粉のお菓子。粉砂糖のかかったリング状のお菓子は、サンクトペテルブルクではプィシキとも呼ばれ、街を代表するものとなっている。ふんわりしたパンのような形のものもあれば、中に餡が入っているものもある。
旧ソ連圏でもっとも一般的な自家製ケーキの一つで、ハチミツの香りがする生地にサワークリームで作るクリームを挟んだものである。伝説では、エリザヴェータ・アレクセーエヴナ皇后付きの菓子職人が考案したと言われる。
クッキーとカカオとコンデンスミルクでできたデザートで、もっとも簡単に作れるお菓子の一つ。スポンジ生地の残りで作ってもとてもおいしい。
リトアニアにルーツを持つ栄養たっぷりの料理は、ソ連軍で広められた。現在は食堂あるいは家庭で目にすることができる。ソリャンカまたはビグスはキャベツ、肉、ソーセージ、魚、あるいはキノコで作られる。
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このお菓子を作るには、クルミの形の穴が空いた特殊なフライパンが要る。半分を焼き、もう半分を焼いたら、真ん中に煮たコンデンスミルクを入れて挟む。
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ロシアのケーキの中でもっとも人気のあるものの一つ。1960年代にウラジーミル・グラルニクが考案した。グラルニクは若い頃に、チェコスロヴァキアの首都でケーキ職人として修行していたことから、自身のケーキをこの街に捧げた。チョコレート入りのスポンジにアプリコットのジャムとチョコレートのバタークリームが挟まれ、最後にチョコのコーティングが施されている。
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ブリヌィと異なり、オラーディは小さく、もう少しふっくら焼かれている。小麦粉にイースト菌を加えて作り、サワークリームまたはジャムと一緒にいただく。
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ペリメニの親戚とも言える一品。ただし中に入っているフィリング(ヴァレニキはカッテージチーズやベリー類、ジャガイモ、キノコなどを入れることが多い)と形に違いがある。ヴァレニキにも肉入りのものがあるが、先に茹でた肉を生地で包む(ペリメニは生のひき肉を使う)。*
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夏にダーチャでシャシリクをするのが嫌いな人などいるだろうか。もちろん、このカフカスの料理には、肉の漬け方や気分によってそれぞれに独自のレシピがある。ケフィールに漬け込む、マヨネーズに漬け込む、またはハチミツに漬け込むという人もいる。普通、レストランでは、ラヴァシというパン、ハーブ、そしてアジカソースと一緒に出てくる。
自宅で、パンの残りを使ってこの飲み物を作ったことがないという人はいないだろう。クワスは、夏の暑さを吹き飛ばし、レモネードやコーラでは得られない元気を与えてくれる。
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1978年に、モスクワのレストラン「プラハ」の菓子職人、ウラジーミル・グラルニクによって考案された。同じ名前のキャンディのレシピを基礎とした。柔らかいスポンジに口どけの良いスフレを乗せ、ブラックチョコレートでコーティングしたもので、誰でも食べずにはいられない一品。
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プロムビールアイスクリームは、フランスからロシアにもたらされ、ソ連創設後まもなく、大量生産されるようになった。国家規格GOSTでは、脂肪分の高い全乳または生クリームで作られなければならないとされた。プロムビールは塊でも、カップ入りでも売られているが、もっともおいしいのはチョコレートコーティングが施されたものである。
世界に理想的な味など何もないと考えているなら、ぜひジャガイモとキノコの炒め物の味を思い出してほしい。キノコの種類としては、アンズタケ、マッシュルーム、ヤマドリダケなどなんでも合う。焼きたての熱々をいただくのが最高においしい。
この有名なプリャーニクは17世紀末から知られている。形も大きさも様々だが、もっとも一般的なのは板状のもので、シュガーコーティングされ、文字が刻まれたもの。中にはあんずまたはコンデンスミルクが入っている。
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ロシア人が大好きなサラダだが、外国人には衝撃を与えることもある。ニシンと茹でたビーツを組み合わせる?そう。そこにニンジンとジャガイモとタマネギ、そして卵とマヨネーズをたっぷり入れたものである。
お祝いのテーブルでよく作られる一品。濃厚なビーフブイヨンに肉、ニンジンを入れ、冷やしてゼリー状にしたもの。西洋ワサビまたはマスタードと一緒にいただく。
ロシアおよび旧ソ連諸国の新年のお祝いのテーブル(新年だけではない)に欠かせないサラダ。ソ連のシェフがブルジョア的なレシピを、エゾライチョウを「ドクトル」ソーセージに、ケイパーを缶詰のグリーンピースに、そして「プロヴァンス」ソースをマヨネーズに代え、もっとも庶民的なサラダにした。
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マカロニにひき肉を加えたものは、かなり前から多くの家族にとってお気に入りの料理になっている。ソ連では、第二次世界大戦後、海軍兵士らが帰還し、戦争中によく食べた料理を伝えたことからこの「海軍風マカロニ」が広く知られるようになった。
ミルクレープのロシア版は、ナポレオンに対する勝利から100年を祝った1912年に生まれた。パイ生地とカスタードクリーム(またはバタークリーム)があれば簡単に作れる。大切なのは一晩以上、生地にしっかりとクリームを染み込ませることである。
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サワークリームまたはジャムを添えたスィルニキは、どんな時代にも最高の朝食である。主な材料であるカッテージチーズは体にもよく、口あたりもよい。
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ビーフストロガノフを考案したのは、アレクサンドル・ストロガノフ伯爵に仕えていたフランス人シェフ。牛肉のフィレを細切りにし、小麦粉をまぶし、タマネギを一緒に炒め、サワークリームとトマトソースを加えて1時間ほど煮込む。ビーフストロガノフにはピクルス、キノコを添え、ジャガイモのピュレーを付け合わせにする。
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外国人には発音しにくい名前を持つ、ロシア料理の柱とも言えるキャベツのスープ。ザワークラウトからも、新鮮なキャベツからも作られる。いくつかの地域では(とくに黄金の環に含まれる都市)、冬には冷凍シチー―つまり必要なときにすぐに作ることができる半加工品のようなもの―が一般的である。
ロシアのブリヌィは小麦粉とイーストで作った生地で焼く。何をつけて食べるかは、数え切れないほどのバリエーションがある。たとえばイクラ、キャビア、キノコ、サワークリーム、ジャムなどである。冬を送り、春を迎える祝日マースレニツァ(バター祭り)にはブリヌィを食べるのが伝統となっている。
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これ以上ないほどもっともロシア的な料理。生地の中に肉を包み、「耳」の形にして、冷凍しておく。ちなみにロシアの多くの地域には独自のペリメニがある。シベリアでは牛肉と豚肉のひき肉、ウラルでは魚、北方では猟鳥を入れて作る。
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ロシア(スラヴ人が住むその他の国々)でもっとも有名なスープ。太古の昔から作られてきたが、各地域にそれぞれのレシピがあり、それぞれにルールがある。トマトを加えるもの、豆を加えるもの、ジャガイモを加えるもの、肉を入れないものなど実にさまざま。いずれにしても、多くのロシア人にとっては毎日のように食べる一品である。
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