屈強で勇敢な戦士として知られるコサックは、500年以上にわたってロシア南部に暮らす民族的・社会的共同体である。コサックの結婚式はわたしたちが一般的に想像する結婚式とは大きく異なっており、料理を中心に、多くの特徴がある。
招待客、地域の新たな住人やただの通りすがりの人々も、コサックは温かく歓迎する。そこでドン川(南部の重要な川で、コサックはその周辺に家を建てた)流域では、宴や自然発生的なディナーが頻繁に行われる。そして自分たちで作った新鮮な食材を使ってコサックたちが作るおいしくて、たっぷりの料理は、その場を特別な雰囲気にする。料理はシンプルであるが、実にコサックらしいものである。
そんな料理の一つが「クルーグリク」と呼ばれるパイ(クルーグルィはロシア語で「丸い」の意)。このごちそうパイは、イーストを使った生地に、様々なフィリングを入れ、豪華にデコレーションされたものである。フィリングには、肉、リンゴ、キャベツ、カッテージチーズ、またはジャムなどが使われる。
かつて、クルーグリクは、結婚式や宗教儀式など特別な機会にしか作られなかった。パイはおもてなしの心と親しみやすさ、ホストの寛大さ、家族の裕福さ、そして伝統への敬意のシンボルである。
しかし、このパイを作るのにはいくつかの決まりがある。たとえば、甘いクルーグリクを作るときにはパウダーシュガーをふりかける、肉入りのクルーグリクを作るときには、中身をよりジューシーによりおいしくするため、ブロス(300mlほど)をフィリングに加えるなどというものである。もう一つのクルーグリクの美味しさの秘密は、表面を焼き色をつけカリカリにすることである。そのためにはオーブンに入れて15分〜20分した後、卵黄を表面に塗る。そして最後に生地は、ゆっくりと手でこねることが重要である。
クルーグリクは主に結婚式になくてはならないものとして焼かれる。コサックの結婚式は概して、収穫期の後、人々が少し作業から解放されたときに行われる。ここには経済的な利点もある。コサックの人々はお祝いごとがあると、数日間続けて、大々的に祝うため、様々な料理やお酒がたくさん必要になるからである。
クルーグリクは現在のウェディングケーキのようなものである。パイには葉や花、その他の飾りを組み合わせてデコレーションされ、特別なシンボルを表したり、意味を持たせたりする。特別な理由がなくても、この素晴らしいケーキがあなたとあなたの家族に幸せを運んでくれることを願って、このクルーグリクを焼いてみよう。
1. 温めた牛乳を深いボウルに入れ、卵、塩、砂糖、イーストを加え、泡立てる。10分休ませる。
2. 時間がきたら、とかしたバターを加え、泡立てながら、小麦粉を少量ずつ加えていく。小麦粉は100〜200g、残しておく。
3. 残った小麦粉100〜200gをテーブルの上にふるい、生地を上に置く。ゆっくりこねはじめ、手にくっつかなくなるまで(3〜5分)こねる。こねすぎないように注意すること。
4. 生地をボウルに入れ、ラップで蓋をし、温かいタオルで覆って、40〜50分、寝かせる。
5. 弾力があり柔らかく、温かくなっている生地をボウルから取り出し、打ち粉したテーブルに乗せる。
6. 生地を丸く広げ、スライスしたリンゴを乗せ、ジャムを上からかける。ジャムが天板の上にこぼれないように注意すること。
7. もう1枚の生地ものばし、写真のように細く切る。
8. 9本の生地をフィリングを乗せた生地の上に等間隔で並べる。真ん中に長い生地を使い、短いものは端に使う。
9. 残った細い生地(5本)をパイからはみ出すように乗せる。残った9本のうちの1本を垂直になるように置く。縦の5本を上に持ち上げ、垂直に置いた生地の上に乗せる。8本残る。
10. 5本の細長い生地をまた持ち上げ、残っている8本を垂直に乗せた生地の上に置く。5本の縦の生地を、垂直にした生地の上に乗るように上に持ち上げる。これできれいな編み模様ができる。生地がなくなるまで織っていく。
11. 残った生地をパイの淵に乗せ、底でつまんで留める。
12. 残った生地を4つに丸め、のばす。1枚目をテーブルに置き、温めたバターを塗り、砂糖をふりかける。2つ目を上に乗せ、続ける。
13. 重ねた丸を8等分する。
14. それぞれに小さな穴を開け、それを軸に1枚ずつ回してずらす。(写真のようになっていればOK)。
15. 編み模様のパイに14で飾り付ける。
16. 卵液に牛乳少々を加えたものを塗る。
17. 180℃のオーブンで40分焼く。オーブンから取り出し、霧吹きまたははけで水をふりかける。ふきんで覆って、10〜15分休ませれば、柔らかいパイの出来上がり。どうぞ召し上がれ!
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