ロシアやソ連のモチーフを取り入れた最近のファッション(写真特集)

 伝統はさまざまに解釈を変えながら生き続けている。ここで紹介するロシアのデザイナーたちはロシアのスタイルを実にうまく、トレーナーやTシャツ、スポーツウェアといった現代のファッションに取り入れている。

 ロシアのファッションブランドはロシアの伝統的な衣装のモチーフだけでなく、伝統や工芸品、おとぎ話など、さまざまなイメージを使って新しいデザインを作り出している。

ロシアの装飾文字の入ったTシャツ 

 このTシャツをデザインしたのは、ブランドAmano_dressの創始者、タチヤナ・クルチェヌィフさん。ブランドの公式インスタグラムにも書かれているように、たまたま受講したロシアの装飾文字の授業中に、このデザインを思いついたという。一緒に授業を受けた生徒たちは聖書の文章を書いていたが、タチヤナさんはこの装飾文字で、何か今、重要な意味を持つ言葉を書きたいと思ったという。そこで生まれたのが「神はわたしたちを愛するのに疲れた」、「善行をし、それを水の中に投げ入れよ」と書かれたTシャツである。

神話とおもちゃが描かれたコルセット

 アレクサンドラ・プスティリョワのブランド Kosskossはスタイリッシュな洋服、とりわけおとぎ話やフォークロア、ロシアの文化コードを取り入れたコルセットを作っている。たとえば、神話に登場する鳥シリンやソ連のおもちゃニヴァリャーシカ(起き上がり小法師)の描かれたコルセットがある。

柄入りのパーカーとトレーナー

 ナボイカあるいはナビフカと呼ばれる木版捺染は、ロシアの工芸品の一つである。この木版捺染に魅せられたのがワルワラ・ゼニナ。ゼニナは自らのブランドから、これを使ったトレーナーやパーカーを作っている。

グジェリ風ブラウスとロシアのウェビングを使ったスポーツウェア

 ブランドBeautiful Criminalsの創始者であるイリーナ・マチュシェンコは、自らの作品について、「フォーク、神秘学、おとぎ話、最近のトレンドをミックスしたもの」と説明している。ブランドのサイトには、ロシアの伝統的な工芸品とウェビングを使った1990年代の洋服を思わせるブラウスの他にも、ロシア的なイメージを取り入れたひねりの効いたファッションをたくさん目にすることができる。たとえばブルーが美しいロシアの工芸品グジェリ焼きスタイルでデザインされたTシャツなどがある。

ソ連風スポーツウェアとセーター「オリンピック60」

 ブランド「オロヴォ」は1960年のオリンピックのために作られたソ連時代のスポーツウェアにインスピレーションを受け、これをモチーフにしたスポーツウェアをデザインした。ウェアセットにはパンツとトレーナーに帽子も入っている。

 またオリンピックに合わせたセーターも作られている。描かれているのはモスクワオリンピックの競技種目の一つである草ホッケーのマーク。

双頭の鷲のデニムジャケットと火の鳥のコート

 金糸刺繍や金属糸の装飾で知られるブランドRussmotiveの品。このようなデザインで、伝統や工芸を支援、保護している。

6枚の翼を持つ熾天使セラフィムとマンドルラが描かれたロンT

 モスクワには神品致命者アンチパ・ペルガムスキー正教会があり、ここでいくつかの商業プロジェクトが行われている。教会の敷地内にはカフェがあり、カフェのサイトではさまざまな品が販売されている。たとえば、一つめの長袖Tシャツは、教会内に飾られている聖像画を描いた画家の作品である。二つ目は、フェオファン・グレクの聖像画「変容」にインスパイアされて作られたものである。教会の祭司は、こうした作品づくりは、参加するすべての人々を一つにし、教会を経済的に支え、貴重な精神性を発揮するものだとしている。

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