『スパイを愛した女たち リヒャルト・ゾルゲ』は諜報員ゾルゲについて、彼が日本で暮らした、第二次世界大戦開戦から亡くなるまでの生活を描いたものである。監督のセルゲイ・ギンズブルグは、この作品について、「冒険に満ちた非常に興味深いストーリーを持つ伝説的な人物の物語である。日本がソ連との戦争を始めるのを防ぐためにあらゆることを行ったということが、ゾルゲの功績である。というのも彼は単に情報を集めるだけの諜報員ではなく、素晴らしいアナリストであり、地政学者であり、影響力を持つエージェントであったのだ」と語っている。
ソ連の軍事諜報活動に関する課題を遂行するため、ドイツのコミュニスト、ゾルゲは1933年に来日し、ドイツ大使館と日本の政府や軍の高官からの極秘情報の収集を開始した。歴史家らは、日本が1941年にソ連に対する戦争を始めることはないとしたコードネーム「ラムゼイ」からの情報は、戦争の行方に大きな影響を与えたとの見方を示している。
ゾルゲは1941年10月18日、日本の特高外事課によって逮捕され、1944年11月7日、東京の巣鴨拘置所で処刑された。1964年、「ソ連邦英雄」の称号を授与された。
セルゲイ・ギンズブルグ監督(左)とゾルゲ役を演じるアレクサンドル・ドモガロフ
Star Media Production Companyセルゲイ・ギンズブルグ監督は、「ゾルゲのように生きることができるのは一握りの人間。彼は今もなお謎である。互いに矛盾し、彼の活動をさまざまに解釈できる情報が大量にある。わたしたちは、この映画の中で、極限状態の中で、最も素晴らしい性質を明らかにする人間を描きたかった」と述べている。
ゾルゲ役を演じるロシアの俳優アレクサンドル・ドモガロフは次のように述べている。「このような役をいただけるのは人生に一度きりのことです。彼は素晴らしい人間です。わたしは、人は、毎日、危険と隣り合わせで生きていくことができるのかということを理解しようとしましたが、やはり理解できませんでした。そのように生きていくには、一体どのような精神を持ち、どのような意志の強さを持ち、どのような性格であるべきか理解することがまったくできません。わたしたちは、理念をどこまでも信じた人間というものを見せたいと思っています。彼はなんとか流血の戦いを防ごうと努力した信念に満ちた人物でした」。
中丸シオン
Star Media Production Companyドラマには、日本の俳優たちも出演している。とりわけ、ゾルゲの恋人役を中丸シオンを演じている。 中丸シオンさんによれば、ゾルゲの物語は日本でも忘れられていないとのこと。
それを証明する多くの事実がある。たとえば、1945年の米国による爆撃で崩壊した東京の帝国ホテルの新館には、ゾルゲが必要な人物たちと会っていたバーのインテリアがそのまま再現されている。
また2001年、日本の朝日新聞社は、ゾルゲを20世紀の歴史を決定づけた人物100人の1人に含めている。
ドラマ撮影のために上海で再現された戦前の東京の風景
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