モスクワ音楽院大ホールのオルガン=
ウラジーミル・ペスニャ/ロシア通信評論家によると、モスクワ音楽院大ホールのオルガンは見事な楽器というだけでなく、ロシア音楽史の優れた展示品。1901年に設置された、ロシア初のコンサート・オルガンである。フランスの音楽家の友人が多数いたピョートル・チャイコフスキーのアドバイスで、フランスの有名なオルガン職人アリスティッド・カヴァイエコルの工房が選ばれ、ここで製作された。それまではドイツの工房に発注されていた。金にして数百万相当し、デザイン面でとても優れていたため、1900年パリ万博でグランプリを受賞した。
オルガン除幕式が行われる12月17日は、1901年の時と同様、フランスのオルガン奏者による演奏が行われる。具体的な名前は今後明らかになる。
ロシアのオルガン奏者、アレクサンドル・フィセイスキー=ルスラン・クリヴォボク/ロシア通信
ボリショイ劇場にオルガンが設置されたのは19世紀末。だが歴史的な舞台にある現在のオルガンは、2013年に設置されたばかりの新しいグラッターゲッツ社製である。オルガン音楽はオペラやバレエでひんぱんに奏でられている。例えば、ピョートル・チャイコフスキーはオペラ「オルレアンの少女」で、ジュゼッペ・ヴェルディはオペラ「ドン・カルロ」と「オテロ」で、ジャコモ・プッチーニはオペラ「トスカ」で、オルガンを使用している。オルガンの音はプロコフィエフのバレエ「ロミオとジュリエット」でも流れる。今日、ボリショイ劇場でのオルガン・コンサートは非常にまれである。
モスクワの主要なコンサート・オルガンの一つがあるのがここだ。チェコスロバキアのリーガークロス社が1959年に制作したオルガンで、ソ連時代の記念品のようになっている。多くの音楽の専門家が、これを技術的に時代遅れのオルガンだと考え、フィルハーモニーのメインとして新しいオルガンが必要だと言っている。
M.I.グリンカ中央音楽文化博物館=ヴィタリーサヴェリエフ/ロシア通信
音の鳴るモスクワ最古のオルガンは、グリンカ音楽文化博物館のロビーにある。1865年に制作されたフリートリヒ・ラーデガストのオルガンは、商人でパトロンのワシリー・フルドフがモスクワ音楽院の授業のために購入したもので、100年ほど使われていた。今日、このオルガンのコンサートが再び行われている。グリンカ音楽文化博物館のプロコフィエフ・ホールには、1979年に設置されたドイツのアレクサンダー・シュッケ社製のバロック・オルガンもある。このオルガンで奏でられるバッハ、ブクステフーデ、パッヘルベルや他のドイツの作曲家の音楽は最高だ。
モスクワ音楽堂スヴェタノフスキー・ホールには、特別な技術的機能を備えたロシアで最も大きなオルガンがある。2004年にドイツのクライス社とグラッターゲッツ社が制作した。昔の音楽を奏でることもできるが、現代的でロマンチックなメロディーはやはり鮮烈な印象を与える。このオルガンには珍しいストップがある。「クジラの声」や、ヘリコプターの離陸の振動をほうふつとさせる最も低い振動数「64フート」など。
小グルジンスカヤ通りのモスクワ・カトリック教会には、60年使われているスイスのクーン社製のオルガンがある。豊かな音調のあるロマンチックな素晴らしいオルガン。慈善基金「善の芸術」は、国内外の一流オルガン奏者を招いて、宗教音楽のコンサートを開催している。
聖ピーター・ポール・ルーテル大聖堂=Shutterstock/Legion Media
歴史的かつロマンチックな1898年製のヴィルヘルム・ザウアー・オルガンは、大聖堂に2006年に設置された(当初はモスクワのレフォルトヴォにある聖ミハイル教会にあった)。1917年ロシア革命後も奇跡的に残り、ドンスコイ修道院の火葬場でずっと使われていた。この大聖堂は慈善基金「ベルカント」の主要なコンサート会場になっている。ベルカントはオルガン音楽を広めるために、それぞれのコンサートでビジュアル・エフェクトとビデオ・インスタレーションを駆使している。コンサートでは、有名な作曲家のオルガン音楽の編曲だけでなく、独自の現代音楽も演奏している。
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